『世界で一番美しい雑誌を』

 明日、9月17日(土)から、いよいよ展覧会「浮田要三と『きりん』の世界」が始まります。

 一昨日の午後、株式会社臼田活版の中澤社長が(うれしそうに)刷り上がった展覧会記念リーフレットを美術館に届けに来てくれました。

 そのいそいそとした姿を見た時、私は浮田さんが星さんが編集発行した『きりん』を関西全域の数知れない学校を回って行商された際にも、きっとなごやかな気持ちの交歓が生れていたであろうことを想像しました。

 リーフレットには、2008年の冬に放送されたNHK『ラジオ深夜便こころの時代』のインタビューを文字に起こして掲載しましたが、浮田さんの語りにこんな一節があります。


 だから、それを売り歩くことが、実際は本当にしんどいんですよ、大変な労力なんだけれども。それよりもやっぱり、『こんな良いものを世に配って歩くというのは、非常に嬉しいことだ』という誇りを持ってましたね、ボクは。自負しておりましたですね。はい。


 井上靖の「この大阪も、空襲で焼け野原になったけれども、子どもの心は従来と一つも変わっていない。ピカピカと光っているはずだ。そのピカピカと光っている気持ちを引き出して、それを詩にして、それを1冊の本にしましょう。きっと出来ますよ!」という一言が、その後の浮田要三という人間の生涯を決定したのです。

 展示作業も、最後の追い込みに入りました。オリジナルの児童詩誌『きりん』166冊を美術館の壁面に全て並べて飾る作業です。あたかも、その1冊1冊が、子どもたちの寄せた詩の1篇1篇、表紙絵の1枚1枚であるかのようです。気がつけば、ここに「子どもと大人が対等な関係で向き合う文化の具体化」がすでに始まっているのかも知れません。

 明日から始まる11月13日(日)までの会期中、一人でも多くの方に、この自由で豊かな世界に触れていただきたいと願っております。どうか、読者の皆さんも大切な人を誘って初秋の松原湖畔にお越しください。

                             (2022年9月16日)



        テキストの余白に置かれた猿澤恵子さんのドローイング

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