top of page

あの日、あと一歩だったのだ

執筆者の写真: 西 幸代西 幸代

更新日:2024年9月26日




「あの日、あと一歩だったのだ」

後悔の連続で人生はできている。

朝の連続ドラマ「虎に翼」のセリフのひとつ。


ぷれジョブの「あと一歩」を振り返ると、

2009年7月の角田さんの謝辞がそれだ。

あと一歩のところまで来ていたのだ。


自閉症の子どもを産む前の、親の役目や母を返上して、

息を普通にしていたころを思い出す。

親の荷を下ろして、むかししていた息を思い出すのが、ぷれジョブ🄬。



障害のある子どもを育てる親には福祉政策で「障害者認定」をして保護養育の支援をする。

健常者とは別の対応がなされる。

線引きは分断。

そこにインセンテイブを増やしてきたが偏見差別は少しは解決できただろうか。


居住地域のひとと子どもの接触経験を児童期から作為的につくりだす。

親は荷を1時間おろす。

ただそれだけがぷれジョブの提案である。




1時間はなにをするのか。

親が自分の中に内面化した家父長制(ヒエラルキー構造)に支配されていることに気づいていく時間にしてほしい。母に、父に、女に、男に、隣近所に迷惑かけないように、分けられた暮らしはおかしいと、社会に負わされている役を知らず知らず取り込んでしまっていることを1時間、降ろしてほしい。社会に役立つ立派な人間にこの子を適応させます、と言わせるのは何の力なのか、共に考える住民を増やしてほしい。


ぷれジョブの趣旨が理解され、ぷれジョブが親主体ではできないこと、住民主体の活動になっていくことを願って2003年につくったのだ。そうでなければ、親は子どもに執着し続けて、温室を作り続け、青年期以降も死ぬまで子を放さないだろう。


とても簡単な方法であるが、親は劣等感から解放されて健常者の理解者を増やす、むずかしい活動である。残念ながら新潟にはぷれジョブはもうない。




以下、角田さんから頂いた謝辞の文面(抜粋)


本日は、ご多用の中、足をお運びくださいまして

「ぷれジョブin新潟」にご参加いただき、ありがとうございました。

このたびのシンポジウムは、

総勢50名の運営スタッフ・ボランティアによって支えられ、

今、閉会の時を迎えることができました。

遠方よりお越しいただきました西幸代先生をはじめ、

お力添えをいただきましたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。



にいがた・オーティズムは、設立から4年目を迎えております。

自閉症親の会 創設世代からの活動を含めますと、

この会は、36年間の歴史と共にあります。





私たち親にとって、自閉症のこどもを授かってからの生活は、

いろいろなことを、あきらめる繰り返しでもありました。

地域の中で生きていくって、本当に苦しいことばかりです。

私たち親は、このこどもたちの親になる以前、

楽に呼吸をしていた時代がありました。

そんなことはとても当たり前すぎて、考えることもありませんでした。

そういう当たり前のことが、当たり前ではなくなり、

知らず知らずのうちに、用心深くなっていって、

気が付いてみたら、わが子と自分自身を守るために、

重くて硬い鎧を身にまとっているのでした。



今回のシンポジウム開催のために 実行委員会が組織されました。

その席で、私は驚かされました。

こどもがより良く生きる道筋を、損も得もなく、

一緒になって真剣に考えようとしてくれている

そういう大人集団が身近なところにいる、という事実に驚いたのでした。



「『ぷれジョブ』は、地域を信じることだ」と、

ぷれジョブを紹介する西先生の文章に書かれてあったのですが、

地域を信じるということは、他人(ひと)を信じる力なのだと、知りました。

忘れかけていた大切なものに、再会できた喜びに近い感動でした。

このときと同じ感動を、今日、この会場にお越しいただいた皆様にも

感じていただけたのではないかと信じて止みません。



折角ですから、皆様にも、感じたことをそのまま大切にお持ち帰りいただいて、

それぞれの地域で、それぞれのお立場で、

その感動の種を芽吹かせていただきたいと思います。

きっとすぐに、つぼみを付けると思います。



親たちには、このつぼみを、早く見つけてほしいと思います。

頑なだった親の心を、解きほぐしてくれることでしょう。

それから、花を咲かせるため、お仲間たちと一緒に水を注ぎ続けてください。



新潟の街中が、ぷれジョブのつぼみや花の香りで満たされて、

やがて、こどもたちは、たくさんのミカタに包まれる。

そんな未来を信じたいと思います。


私たちは、ずっと、君たちのミカタです。

長い一日を、お付き合いいただきました。


ありがとうございました。    NPO法人にいがた・オーティズム 理事長 角田千里



*今なら「地域を信じるということ」を「1時間だけ、」

閲覧数:111回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page