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執筆者の写真miyao0107

オープニングセレモニーを無事終了しました。

 去る9月17日(土)、「浮田要三と『きりん』の世界」展のオープニングセレモニーを盛会の内に、無事終えることができました。

 兵庫県からお招きした、『具体』と『きりん』研究の第一人者である加藤瑞穂先生からも「『作品本位』の良い展示だと思います」とうれしい評価をいただきました。

 私たち(一般社団法人ぷれジョブ)はあくまで企画協力をさせていただいた立場であり、今回の見事な展示空間を創り出されたのは、小海町高原美術館のスタッフの方々です。

 わけても、今回の展覧会の「肝」であった児童詩誌『きりん』(オリジナル)166冊の壁面展示は、前代未聞とも言えるチャレンジングな作業でした。

 ここでは、ご了解を得て、みなさんにその作業の様子を少しだけご紹介しましょう。

 9月12日(月)に、東京から専門業者の方が2名で来られ、朝から夕方までに、見事に大きな作品の展示を完了されました。私は、手伝ってくれたボランティアの青年と、作品が梱包から慎重に取り出され、レーザー光線でレベル(水平)を出した壁面に正確に固定されてゆく手仕事を、息を呑んで見守りました。これが、そこに現出した浮田要三の世界です。

   作品の1点1点に大変な力があるため、充分なスペースを置いて展示しました。


 次の写真は、『きりん』166冊を展示するために中嶋学芸員が作成された設計図です。

 今回、この緻密な計画に沿って、着々と作業が進められる過程に立ち会えたことも、私にとって大変印象深い経験となりました。

      全166冊を年代順に8冊ごとに区切り、板を延べて定着させます。

 『きりん』は大切にケースに保管され(右端)、案内チラシが見本に置かれました。

  1948年刊の第1号から、浮田要三と『きりん』の歩みが静かに立ち顕れます。

  終に、全166冊が並べて展示されました!館長が照明の最終確認をされています。


 こうして、第1展示室の一番奥の壁面一杯に、ほぼ完品(無傷な保存状態)の『きりん』166冊が、壮観な趣きで現出しました。それは、正しく『具体』という言葉にも相応しい浮田要三の14年に亘る歳月の重みと深みとを、真っ直ぐに観る者に訴えかけて来ます。

 この、あたかも祭壇のような空間を舞台に、オープニングセレモニーが開催されました。

 会場には、浮田綾子夫人、長女の小﨑唯さんをはじめご親族の方々、少女時代『きりん』に詩を投稿されていた山口雅代(美年子)さん、『きりん』166冊を提供してくださった荒井きぬ枝さん、所蔵作品の提供と記念リーフレットの編集にご協力くださったロジャー・マクドナルドさん、その昔浮田さんの隣に住んでおられたという作家のおーなり由子さん、

更には、リーフレットの広告掲載でご協力いただいたギャラリー関係者各位、そして小海町高原美術館のリピーターのお客様にお集りいただき、立錐の余地もありませんでした。

 館長の挨拶には、コロナ禍の影響により、この3年間あらゆる展覧会のイベントが中止とされて来たため、久しぶりの開催に悦びもひとしおの響きが籠ります。会場には100名を超える来館者が集まりました。長女の小﨑唯さんによれば、関西方面から概ね30名の方々が来館されたそうです。あらためて、現代美術作家・浮田要三の『引力』を痛感しました。

 加藤瑞穂先生からは「『きりん』と『具体』の美術」と題してご講演をいただきました。続いて宮尾から、浮田さんとともに『きりん』を守り続けた盟友の星芳郎さんの人となりについて語らせていただきました。

 後半は、会場からの質問も交えたフリートークとなり、「浮田要三と『きりん』の世界」に参加者全員が浸る忘れがたい時間となりました。

 ここで、ご参集くださったみなさまに、あらためて心より御礼申し上げます。

 さて、読者のみなさま、展覧会は、まだ始まったばかりです。

 これから、季節も秋から冬へと移る11月13日(日)までを会期に、八ヶ岳と松原湖を擁する高原の美術館で、みなさまのお越しをお待ちしております。

 賢明な読者は、もうすでにお気づきかと思いますが、展覧会場の詳細な写真を敢えてここに網羅することを控えましたのは、「百聞は一見に如かず」の諺にあるとおり、この自由で豊かな「浮田要三と『きりん』の世界」をあなたご自身の存在で受け止めていただきたいと心から願ってのことです。

                             (2022年9月19日)


   垂れ幕を挟んで記念撮影。右より名取館長、小﨑唯さん、中嶋学芸員のお三方。





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