当法人宮尾さんが中心となり、学校が苦手なお子さん・ひきこもりがちな若者の中で、映画館へつなぐといいかなと思う方をご紹介しています。
映画館の中に入ると、お隣にあわせる必要がないし、でも、誰かと同じ映画を観る、という体験ができます。宮尾さんのインタビュー記事、抜粋しますね。
ニートやひきこもり関連の相談を受ける「長野県東信子ども・若者サポートネット」も、学校や社会への復帰を前にした人にシネマクラブを紹介することがある。相談員の宮尾彰さんは「シネマクラブは肩書を感じさせない地域の大人が迎えてくれる場所。心の燃料が不足ぎみの人たちも安心していられるように感じます」と話す。以上
実は、小諸事務所に遊びに来られる方を上田映劇にもお連れすることもあります。私も大学はあんまり行かず寄り道して、よく映画を観ていたくちでした。映画館のにおいが好きでした。
映劇の選ぶ映画に信頼があります。
映画で世界のことも、今の社会のことも、全部勉強できますから、
息が詰まりそうなときはぜひ事務所にお泊りして、映劇で映画を観て補給しておかえりください。 西幸代
■上田映劇
長野県上田市の繁華街に大正期の1917年、建設された劇場で、映画館として愛されたが観客減などで2011年に定期上映を中止。その後、劇団ひとり監督の映画「青天の霹靂(へきれき)」(14年公開)の撮影で使われ、昭和40年代の浅草の演芸場を再現したセットが今も一部に残る。歴史的な建物の保存と、上映復活を望む声を受けて17年に定期上映を再開。運営する認定NPO法人「上田映劇」は文化・芸術を通じた教育や人の育成も掲げている。
以下記事の全文です。
学校に行きづらい子は映画館においで――。長野県上田市の三つのNPO法人が協働し、毎月2回、築100年を超える映画館で無料上映会を続けている。孤立しがちな若い世代に、さまざまな映画作品と出会う機会と、人と交流する居場所を提供している。
朝10時前、映画館「上田映劇」前に「うえだ子どもシネマクラブ」の看板が置かれると、小中学生が次々とやって来た。8月8日午前の上映作品は「映画ざんねんないきもの事典」。子どもたちはロビーで無料のポップコーンを受け取って客席へ。親やきょうだいと一緒の子も多い。
上映が始まってもロビー脇のカフェスペースで絵を描くのに夢中な子たちがいた。どう過ごすかは自由。カフェではNPO法人のスタッフが遊んでくれる。映画をみるのに疲れたら途中で客席から出ても良い。昼休みや午後の作品「河童のクゥと夏休み」上映後のロビーでは、タブレット端末でゲームをする子どもや、話し込む若者と大人の姿もあった。
76人のシネマクラブ登録者のうち、この日に参加した子どもは21人。保護者や支援者も15人来ていた。「久しぶり」「初めて? 楽しんでね」などと声をかけていた直井恵(なおいめぐみ)さん(43)は、NPO法人「アイダオ」の事務局長だ。
シネマクラブは「アイダオ」と、上映や館の保存・活用を担う「上田映劇」、若者の自立を支える「侍学園スクオーラ・今人(いまじん)」の三つのNPO法人が協働。「孤立を生み出さないための居場所作りの整備~コミュニティシネマの活用~」事業として、2年前から続けてきた。今年度までの活動資金は、休眠預金を活用した助成でまかなう。
上映会は原則月2回の月曜だが、毎週水曜と金曜も、別館として使う近くの映画館の事務所を登録者らの居場所として提供する。最近は中学生や自立を目指す20代の女性ら数人が来ておしゃべりや勉強をするほか、ポスターを貼り替えるなどの作業を手伝う。
「学校が苦手だったり卒業後に悩んだりしている人が、映画でいろんな人生や価値観に触れて、なにか感じてもらえれば。映画館に来れば人と話す機会もあるし、細かい作業をしてくれるのは私たちも大助かりです」と直井さんは言う。
今年2月には「映画館は未来をつくる学びの場」と題したシンポジウムも開いた。中学1年(当時)の女子生徒は、「学校に行っていない人とかいて相談しやすいし、ひきこもっているよりは絶対こういうところに来た方がいいと思います」と利用者としての意見を壇上から語った。
記事の後半では、通って来る子どもの感想や、子ども、保護者と関わるほかの取り組みとの連携を紹介します。
この女子生徒は昨年の夏休み明けから学校に通えなくなったという。「映画はいろんな物語に入り込める。水曜は英語も教えてもらえる。部屋から出たくなくて人と全く話さない時期があったけど、ここでは話せる」と取材に話した。今年の年明け、吹奏楽の部活に通うという目標を直井さんたちに伝え、今春から実際に学校で部活に参加するようになったという。
別の中学3年の女子生徒は人と話すのが苦手で、学校には通うが教室の授業には出ていない。教室には、1年生の後半から行きづらくなった。保健室や自宅で過ごしていた2年生のときにシネマクラブを知り、月2回の上映会に通う。映画に疲れたら出入りできる自由さと、年下から大人まで幅広い年代の人が自然に交流している雰囲気が気に入っているという。
「シネマクラブにいる年上の人は優しくて話しやすく、会話の練習にもなる。家みたいにリラックスできるし、通うようになって外へ出やすくなりました」と話した。
一歩踏み出す機会、他機関との協力で
「うえだ子どもシネマクラブ」の特徴は、親の相談にも乗りつつ、地域の多くの機関や団体と協力して対応していることだ。
県や周辺市町の教育委員会が後援しており、毎月の上映予定は教委を通じて学校へも届けられる。スクールソーシャルワーカーがシネマクラブを紹介する例が多く、ここへの参加を学校への「出席」扱いとする例も出てきた。学校以外の多様な場で学ぶ子どもの支援を目的とした「教育機会確保法」に基づいた判断という。
ニートやひきこもり関連の相談を受ける「長野県東信子ども・若者サポートネット」も、学校や社会への復帰を前にした人にシネマクラブを紹介することがある。相談員の宮尾彰さんは「シネマクラブは肩書を感じさせない地域の大人が迎えてくれる場所。心の燃料が不足ぎみの人たちも安心していられるように感じます」と話す。
近くの小諸市で不登校の子の支援を続ける県動物愛護センター「ハローアニマル」も連携先の一つだ。職員と一緒に動物と触れあって過ごすうちに「何かしたい」という気持ちを抱いた子に、シネマクラブを紹介することがある。顔見知りの職員も上田映劇に足を運ぶので、子どもは安心して一歩を踏み出せるという。(上野創)
■上田映劇
長野県上田市の繁華街に大正期の1917年、建設された劇場で、映画館として愛されたが観客減などで2011年に定期上映を中止。その後、劇団ひとり監督の映画「青天の霹靂(へきれき)」(14年公開)の撮影で使われ、昭和40年代の浅草の演芸場を再現したセットが今も一部に残る。歴史的な建物の保存と、上映復活を望む声を受けて17年に定期上映を再開。運営する認定NPO法人「上田映劇」は文化・芸術を通じた教育や人の育成も掲げている。
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