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執筆者の写真西 幸代

鳥獣戯画の豊かな世界、「個」が描かれた理想の社会。

私は新日曜美術館という番組を見るのが楽しみの一つです。昨日は東京博物館で展示されている「鳥獣戯画」が取り上げられました。私は浄土宗を開いた法然さん(岡山生まれ)が大好きなので、法然さんと討論した高山寺の明恵さん、夢日記を記した明恵さんに興味があり、鳥獣戯画を守っている高山寺を何度か訪れてきました。いつも、木彫りの子犬と童子が迎えてくれます。ちいさな庵で「樹のうえの明恵上人」のお軸の前にまた坐わりたいと思いました。



さて、わたしは2003年にぷれジョブ🄬をつくり伝えてきたのですが、いろいろな視点からいろいろな立場の人に伝わるようするには、メタファ(たとえ話)が良いと考えてきました。


・古事記の話

(足の萎えた子ども「ヒルコ」を川に流して下流で拾い上げた人が「エビス」にするなど)

・百徳着物

・童話「百羽のつる」

・アマモの森

・児童詩誌「きりん」

・中村桂子さんの生命誌


 、、、、、、


鳥獣戯画はメタファの最高のお手本でした。(写真は東博で求めた一筆箋)


昨日初めて知ったことが一つありました。

絵は裏表に描かれていたということ。

2枚の紙の裏表、

そのあいだを破らないようにしてそれぞれ見学できるように展示されているそうです。

コロナで行けるかどうかは分からないけれども全巻をぜひ見たいものです。


定例会みたいだなあと思う絵もあります。

にんげんのおかしさや皮肉も動物たちのちからを借りれば笑いとなります。

なんとゆたかなふくよかな、

たのしい方法を平安時代の人々はあみだしたのでしょう。


「一頭一頭」

「一匹一匹」

「一羽一羽」

「一人一人」

たのしく、かろやかに、あるいはていねいに、あるいはかなしく描かれています。


個がゆがめられたり、なかったことにされることもあるこの世、

苦しみに充ちたこの世を生きる時、

この絵の、「個」がほんとに大事にされた理想の世界を見ることは、

とても気持ちがよくなります。

昔の人も今の人も同じかもしれないと思いました。



東京博物館のHPより



鳥獣戯画は今から800年ほど前、平安時代終わり頃から鎌倉時代の初め頃にかけて描かれた作品です。兎や蛙、猿の登場する甲巻が有名ですが、この他に動物図鑑のような乙巻、人物戯画・動物戯画から成る丙巻、人物中心の丁巻があります。この4巻を合計すると44メートルを超し、本展ではこの長大な画面を一挙にご覧いただけます。

鳥獣戯画は彩色のない白描画です。墨の線だけで、動物や人々の姿を生き生きと躍動的に描いています。4巻それぞれに墨の線に特徴があり、この機会にぜひ、その違いを見比べてみてください。

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