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                                                                        設立趣意書

 

今、私たちの生活する社会には、障害のあるなしにかかわらず、子ども・若者をめぐる多様な問題が溢れています。地域の包容力は弱まり、家族は孤立しやすくなりました。

 

国、都道府県、市町村などの行政は、困難のある子ども・若者および高齢のひきこもり当事者への支援を最重要課題に掲げ、「安心・安全な居場所の創出」や「相談窓口の開設」など課題解決に向けて、様々な関係機関による専門的支援を継続してきました。しかし、内閣府の最新の発表で、15歳から64歳のひきこもりの状態にある人数は115.4万人と増えており、日々公的支援の必要な様々な人が地域でたくさん暮らしています。

 

市民レベルでも、ようやく生きづらさのある人の存在が注目され、住民として、企業などの組織として、安心して生活できる地域づくりに何か取り組まなければならない、という当事者意識が芽生えています。つながりが切れて、住民同士が疑心暗鬼になり監視強化だけが進むとあらたな孤立を生むので、私たちは今を、危機感を共有した身近な住民同士が互いにつながりあい、公共を創る主体に育つ契機にしようと考えています。

 

私たちは2003年からぷれジョブという「存在相互支援」の活動を進めてきました。17年の活動でわかったことは、身近な地域住民の温かなまなざしはたくさんあり、掘り起こせばインフォーマルな支援へと育つということです。ぷれジョブは、居住地域内の異なる立場の住民が様々な障害種や障害程度の子どもたちのはたらく体験を手伝うことでつながる運動で、生産性のみで測る競争社会から離れて他者と比較せずに障害ある子どもの中にある自然に触れることで、失った感覚や気づきを得ることができます。付添役のジョブサポーターや活動報告を聴く定例会の参加者は、障害や就労の専門家でない素人の地域住民で構成され、企業は付添役付きの毎週1時間の受入れで地域貢献できるため、取り組みやすく全国に拡がりました。実社会と家庭との中間的居場所で、障害のある子どもがそのままの姿で全肯定される場、1か月1回1時間のぷれジョブの定例会は地域に開かれているので、生きづらさのある人やその支援者もほっと息がつける場です。ぷれジョブで生まれる、明るく軽い空気が町に広がれば、子育ての困りごとや生きづらさにも早期にサインを出せたり気づいたりできて、孤立した家族を生まない予防になり、防犯防災や自殺希少地域や認知症に理解のある地域づくりに寄与できます。

 

 創始者西幸代は、17年間、ぷれジョブ🄬が当事者と関係者だけに閉じたり、同質で個のない同調圧力が場を動かしたりするのではなく、学び続ける成熟した「個人」により維持されるのに必要な文化活動をあわせて伝え広げてきました。「大人とか子どもとか、先生とか生徒とかの区別はなく、その時はすべて平等な人間であった(浮田要三)」と表現された児童詩誌『きりん』などの文化の紹介なども法人事業として引き続き行います。

 

 ぷれジョブという方法により、人々が居住地域に住む障害のある子どもと直接触れ合うことで、やさしさが呼び覚まされて、住民同士がともに助け合う小さな共創地域、いのちを育む場が地上に数多生まれることを願って、この活動を広げる法人を設立いたします。

 

令和元年9月11日

 一般社団法人 ぷれジョブ

代表理事 西 幸代  

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