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2021年初頭にあたって

2021年初頭にあたって


 新しい年2021年が明けました。

この年が、皆さまにとって恵み豊かな1年となりますことを、切にお祈りいたします。昨年は、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響が世界を脅かした年でした。皆さまそれぞれの困難の中におられることと拝察いたします。


 私たちのぷれジョブ🄬にとってもまた大きなの1年でした。多くの方々のお力添えにより、法人格を取得できたのが2019年9月11日でした。昨年は、よちよち歩きを始めたばかりではありますが、公的助成を受けての公共事業にも着手し、社会的な責任を果たせる組織へと成長を目指して活動を続けて参りました。

 そうした中で、ありがたいことに、いくつもの大切な出会いに与ることができました。

「個」の自立を豊かなユーモアで描き出した映画『道草』の宍戸大裕監督とのご縁から、定期的に上映会+対話会を開催することができました。その過程で、『津久井やまゆり園』での殺傷事件から奇跡的に生還された尾野一矢さんのご両親である、尾野剛志さんチキ子さんご夫妻とお近づきになることを許され、貴いお話を拝聴して参りました。

 秋には、北九州市で長年ホームレス支援を続けて来られたNPO法人抱樸の奥田知志理事長と広報担当の谷瀬未紀さんと出会い、『たいへんだけど、不幸じゃない』という私たちの活動とも共振する理念を共有することができ、大きな力をいただきました。

 8月下旬、八ヶ岳山麓の小海町の皆さまと開いた第1回目の対話会で、宍戸監督を通して尾野一矢さんの口から発せられた『芹が谷やめとく』という一言をお聞きしました。


 年頭にあたり、静かに考えますと、あの重大な事件が植松聖死刑囚の存在と共に私たちの意識から薄らいでいることをひしひしと感じます。私たちは、あったことをなかったことのようにあつかう現在の風潮に対して、しっかりと『否』を表明して参りたいと思います。

 私たちのぷれジョブ®が最も大切にして来た理念は、自らの入所施設からの独立宣言とも言える、この一矢さんの発言と深いところでひとつにつながります。法人化への歩みを宣言した2016年全ぷれセミナーin新潟では当サイトにも再掲した『津久井やまゆり園で亡くなられたみなさまを追悼する集会に寄せて』を読み黙祷して、忘れないようぷれジョブ🄬の四つ葉の真ん中に死者のおとずれる空白があることを確認いたしました。


『芹が谷やめとく』の一言が発せられるまでに、日本で障害者と呼ばれる人たちを巡って重ねられた歴史と、彼自身がその後歩み始めている「健全に依存先を増やす」新たな自立への道との間に横たわる大きな断絶を、私たちはいつまでも問い続けます。なぜならば、『人間裁判』で生存権を問うた朝日茂氏縁の地である旧国立療養所内岡山県立早島養護学校重心病棟での最重度の少女ともかちゃんとの出会いから生まれたぷれジョブ®=人間存在の意味を問い続ける営みを導く灯りがそこにあると信じるからです。


本年も、心を新たに原点に立ち還りつつ、私たちのぷれジョブ®に籠める願いを一人でも多くの方にお伝えできるよう、謙虚な気持ちを忘れずに歩んで参りたいと思います。

コロナ禍は今しばらく私たちの生活を脅かすことと思われますが、どうぞ皆さまも日常の生活の内に心の潤いを絶やさずお過ごしくださいませ。


              2021年正月

              一般社団法人ぷれジョブ 代表理事  西 幸代


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